チッチの推薦図書
146-シバの女王の上陸(1648年制作)
―クロード・ロラン( Claude Lorrain 1600年代-1682)ー
ロランはプッサンと同時代に活躍し、プッサンと同様、生涯のほとんどをイタリアのローマで過ごしました。ロランは風景画の大家です。風景画といっても、現実の風景をありのままに描くのではなく、牧歌的理想的風景を描くのです。イタリアルネサンスの優美な風景画の手法に、北方ルネサンスの明暗対比の強い緻密な描写を取り入れ、独自の風景画様式を築きました。ターナー、コンスタブル、コローと、後の風景画家に圧倒的な影響を与えています。
2021年:春のお薦めの1枚 No.1
掲載日:2021年3月2日
147-悔い改めるマグダラのマリア(1635年頃制作)
―ジョルジュ・ド・ラ・トゥール( Georges de La Tour 1593-1652)ー
ラ・トゥールはルイ13世から【国王付画家】の称号を得るなど、生前は大変有名な画家でした。その後、すっかり忘れられ、20世紀初頭に再発見されました。バロックの明暗法を用いて古典主義の静謐を表現する、これがラ・トゥールの画風です。ろうそくやたいまつなどの1つの光源を用いた強烈な明暗対比を得意とし、ラ・トゥールは【夜の画家】と呼ばれました。プッサンやロランに比べて画面構成は平面的ですが、描写は2人よりも生々しいです。
2021年:春のお薦めの1枚 No.2
掲載日:2021年3月5日
148-愛の賛歌(1717年頃制作)
―アントワーヌ・ヴァトー( Antoine Watteau 1684-1721)ー
結核にてわずか36歳の若さで亡くなったヴァトーですが、ロココ前期を代表する画家です。ロココといえば【雅宴画(フェート・ギャラント fêtes galantes)】ですが、このジャンルを確立させたのがヴァトーであり、ヴァトーの功績はここに尽きます。アカデミー入会のために、ヴァトーが提出した【シテール島の巡礼】という華やかな作品が、どのジャンルにも属さなかったため、新しくこの名前が付けられました。美術史上、とても重要な画家です。
2021年:春のお薦めの1枚 No.3
掲載日:2021年3月10日
149-化 粧(1742年制作)
―フランソワ・ブーシェ( François Boucher 1703-1770)ー
ロココといえばこのブーシェであり、ロココ盛期(中期)を代表する画家です。実はこの絵、油彩絵の具ではなくパステルで描かれています。優美な画風を特徴とするロココ時代では、軽快で柔らかな色彩が出るパステルに人気が出、この時代はパステル画の傑作が多く輩出されます。印象派のルノワールはロココ絵画に影響を受けていますが、中でも最も大きな影響を受けたのがこのブーシェです。暗い時代にこういう華やかな絵はいいですね。
2021年:春のお薦めの1枚 No.4
掲載日:2021年3月15日
150-読書する娘(1775年頃制作)
―ジャン・オノレ・フラゴナール( Jean Honoré Fragonard 1732-1806)ー
フラゴナールはロココ後期を代表する画家であり、ロココ時代の最後を飾った画家です。あまりにも艶やかな画風で、この反動で新古典主義が生まれました。1789年から始まったフランス革命を境に、ロココ美術は軽佻浮薄の烙印を押され、晩年のフラゴナールは失意と貧困のうちに過ごしました。優美な色彩が特徴ですが、人物描写や画面構成もきっちりしており、非凡な画力を有しています。いい画家ですよ。
2021年:春のお薦めの1枚 No.5
掲載日:2021年3月16日