チッチの推薦図書

151-ブドウとザクロ(1763年制作)

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―ジャン・シャルダン( Jean-Baptiste Siméon Chardin 1699-1799)ー 

 

 シャルダンはロココ全盛の18世紀フランスを生きた画家ですが、彼は生涯を通して素朴な静物画や風俗画を描き続け、当時としてはかなり異色の画家です。彼の絵には17世紀の【オランダ風景画】や【スペイン厨房画】の影響がはっきりと見て取れます。アカデミーの会計官やサロンの審査員も務め、またルーブル宮殿にアトリエ兼住居を授かり、さらには年金も受給するなど、風俗画家としては大変異例の名誉にあずかっています。

 

2021年:春のお薦めの1枚 No.6

掲載日:2021年4月1日

152-アリアドネーに扮したハミルトン嬢(1790年制作)

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―エリザベート・ルブラン( Marie Élisabeth Vigée Le Brun 1755-1842)ー 

 

 エリザベートは18世紀で最も有名な女性画家です。「画家は男の仕事であって、女性がなるなんてとんでもない」と考えられていた時代にあって、女性が画家になることは異例中の異例であり、ここからエリザベートのすごさが分かると思います。彼女のスタイルは、新古典主義寄りのロココといえば分かりやすいでしょうか。彼女はもっぱら王侯貴族の肖像画を手掛け、660枚の肖像画を残しています。風景画も200枚ほど描いています。

 

2021年:春のお薦めの1枚 No.7

掲載日:2021年4月2日

153-ソクラテスの死(1787年制作)

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―ジャック=ルイ・ダヴィド( Jacques-Louis David 1748-1825)ー 

 

 18世紀の華美な表現のロココの反動として、18世紀後半から粛々とした新古典主義が興ります。この新古典主義の旗振り役だったのがこのダヴィドです。純粋に画家としてではなく、ロベスピエールにナポレオンの庇護の下、フランス芸術界の最高権力者となることによって、新古典主義を押し進めました。もちろん、この2人が失脚した後は、ダヴィドも失脚し、ナポレオンが失脚した後は、ベルギーのブリュッセルに亡命を余儀なくされました。

 

2021年:春のお薦めの1枚 No.8

掲載日:2021年4月15日

154-ドーソンヴィル伯爵夫人(1845年制作)

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―ドミニク・アングル( Jean-Auguste-Dominique Ingres 1780-1867)ー 

 

 アングルは前回ご紹介したダヴィドへ弟子入りし、師匠亡命の後、ダヴィドの後継者としてフランス新古典主義の最大の守り手となりました。19世紀に入ると、ドラクロワやジェリコーらのロマン主義絵画が台頭しますが、その中でも新古典主義が廃れなかったのはアングルの力に拠るところが大きいです。卓越したデッサン、入念な構成、しかしアングルの絵は感情味はなく、ちょっと冷たい感じがします。やはりドラクロワとは真逆ですね。

 

2021年:春のお薦めの1枚 No.9

掲載日:2021年4月23日

155-レカミエ夫人の肖像(1805年制作)

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―フランソワ・ジェラール( François Gérard 1770-1837)ー 

 

 ジェラールはダヴィドのアトリエに入門し、その中でめきめきと実力を付け、ローマ賞を2位獲得します。その後、ナポレオンの肖像画受注をきっかけに画家としての確固たる地位を築き、諸外国の王侯貴族から仕事を受注するようになりました。帝政崩壊後も地位的に失墜せず、仕事の受注量も変わらなかったというのですから、たいしたものです。新古典主義における肖像画の名手といってもいいでしょう。

 

2021年:春のお薦めの1枚 No.10

掲載日:2021年5月11日