チッチの推薦図書

116-樹々と淵(1840~50年頃制作)

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―ナルシス・ディアズ(Narcisse Virgilio Díaz de la Peña 1808-76)ー 

 

 最初は人物画家としてキャリアを出発させ、18歳にして早くもサロンに入選を果たすほどの腕前でした。しかし、バルビゾン派のテオドール・ルソーを知ると、風景画家に転向します。以降、バルビゾン派の画家として名を上げ、人気画家になりました。ディアズは4歳年下のルソーから風景画の描き方の指導を受け、ルソーを自身の唯一の師匠として、生涯ずっと尊敬の念を忘れませんでした。ジョン・コンスタブルから端を発するイギリス風景画の影響が強い画家です。 

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.6

掲載日:2020年10月8日

117-樫の老木(1870年頃制作)

117-古い樫の木(1870年頃制作)

―ジュール・デュプレ(Jules Dupré 1811-89)ー 

 

 最初は磁器工場の絵付け職人(同僚に前回ご紹介したディアズがいました)としてキャリアを始め、働きながら絵画を学び、そこから風景画家に転身しました。イギリスに渡り、バルビゾン派の成立に影響を与えた風景画家ジョン・コンスタブルの元で修行しています。一見そうとは思えませんが、丹念かつ堅実な色遣いで、色彩の画家です。これでバルビゾン派の代表的な画家を7人紹介したわけですが、この7人を【バルビゾンの七星】と呼びます。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.7

掲載日:2020年10月9日

118-乾 草 車(1821年制作)

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―ジョン・コンスタブル(John Constable 1776-1837)ー 

 

 ジョン・コンスタブルは歴史画絶対の時代のイギリスにおいて、風景画を描き続けた異端児です。しかも屋外で制作を始め、それまでにない明るい自然の光を表現しようとしました。こうした態度がフランスのバルビゾン派の成立につながり、延いては印象派の誕生へ結びつきます。日本ではあまりなじみのない画家かもしれませんが、イギリスのみならずヨーロッパ全土で風景画の地位を向上させた功労者です。同時期にウィリアム・ターナーがいます。 

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.8

掲載日:2020年10月13日

119-トゥルーヴィルの海岸(1864年制作)

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―ウジェーヌ=ルイ・ブーダン(Eugène-Louis Boudin 1824-98)ー 

 

 ブーダンはバルビゾン派と印象派の架け橋となった風景画家です。特に雲が広がる青空の描写に優れ、詩人ボードレールやバルビゾン派の画家コローから【空の王者】と讃えられました。物静かで内向的な性格だったのですが、若い頃のモネに絵の手ほどきをした際、絵描きになるかどうか迷っていたモネに対して、画家になるように熱心に説得しました。モネの才能を見抜いていたんですね。 モネも後年「自分が画家になれたのはブーダンのおかげ」と謝辞を述べています。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.9

掲載日:2020年10月14日

120-セーヌ川の突堤(1862年頃制作)

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―ヨハン・ヨンキント(Johan Barthold Jongkind 1819-91)ー 

 

 前回ご紹介したブーダンと同じように、ヨンキントはモネに影響を与え、モネも後年ヨンキントのことを「師匠」と呼んでいます。風景画家で、特に外光の下のきらめく海や川の表現を得意とし、これが若き印象派たちの水の彩りを表現する際の良いお手本となりました。バルビゾン派やブーダンよりも印象派的であり、現在では印象派の先駆者と位置付けられています。オランダ人ですが、人生の大部分をフランスで過ごしています。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.10

掲載日:2020年10月19日