チッチの推薦図書

111-モルトフォンテーヌの思い出(1864年制作)

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―カミーユ・コロー(Jean-Baptiste Camille Corot 1796-1875)ー 

 

 バルビゾン派のコローは、フランスにおいて現実の自然風景を描き始めた開拓者であり、写実主義と印象派とを橋渡した画家です。コローの絵は外光派のようにすっきりした色彩ではなく、銀灰色のもやがかったような光の表現が特徴です。また、コローの絵には斜めに傾いた樹木がしばしば登場し、その柔和で鈍い色彩と相まって、ただの森の風景が妖精の住む森のように神秘的に感じます。サロンの審査員にも任命され、若き印象派の画家を入選させています。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.1

掲載日:2020年9月10日

112-落穂拾い(1857年制作)

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―ジャン=フランソワ・ミレー(Jean-François Millet 1814-75)ー 

 

 バルビゾン派は農村の風景を描き始めましたが、描く対象を風景のみならず、農村で生活する農民の姿まで押し進めたのがこのミレーです。聖書の聖人、ギリシャ神話の英雄、貴族の姿を描くことが絵の約束事であった当時において、ミレーの農民画は非常に画期的で、フランス美術界にスキャンダラスに捉えられました。今では考えられないことですが、ミレーの農民画をめぐって評価が真っ二つに分かれ、擁護派と否定派の間で激しい論争が交わされました。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.2

掲載日:2020年9月11日

113-アプルモンの樫(1852年制作)

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―テオドール・ルソー(Théodore Rousseau 1812-67)ー 

 

 しばらくバルビゾン派の画家の紹介が続きます。今回はテオドール・ルソーです。19歳にしてサロンに入選し、22歳には自作がオルレアン公に買い上げられる名誉にあずかったため、ベテラン画家たちから嫉妬され、それから十数年はサロンに入選できませんでした。派手さはありませんが、堅実な色遣いで、細部というよりも、全体のまとまりで勝負する画家です。全体を通して見ると、構成も色彩も本当によくまとまっていますよ。物の大小のバランスも見事です。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.3

掲載日:2020年9月24日

114-オワーズの川辺(1868年制作)

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―フランソワ・ドービニー(Charles-François Daubigny 1817-78)ー 

 

 ドービニーのお父さんも叔父さんも風景画家であり、幼少の頃から風景画制作の手ほどきを受けていた風景画家のサラブレッドです。自身が所有する小舟をアトリエに使い、セーヌ川やオワーズ川の上で絵を描くこともありました。この手法は後年モネが受け継いでいます。モネのほかピサロやセザンヌなど、若き印象派の画家たちを積極的に評価しました。【水辺の画家】として名声を確立し、このドービニーの水の表現は若き印象派に大きな影響を与えています。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.4

掲載日:2020年9月25日

115-小さな群れ(1860年頃制作)

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―コンスタン・トロワイヨン(Constant Troyon 1810-65)ー 

 

 トロワイヨンは風景画家としてスタートしましたが、なかなか独自の画境を築けず、20代30代は評価はあまり芳しくありませんでした。しかし、1846年にオランダ行き、レンブラントやポッテルなど17世紀のオランダの名画家の作品を研究・吸収するうちに、動物画家として新境地を開きました。動物画家としての名声はフランス国内のみならずヨーロッパ全体に響き渡り、さらにはイギリスやアメリカにまで飛び越えました。

 

2020年:秋のお薦めの1枚 No.5

掲載日:2020年10月5日