チッチの推薦図書
101-ゆりかご(1872年制作)
―ベルト・モリゾ(Berthe Morisot 1841-95)ー
印象派の女流画家の中で1番名が知られ、1番人気があるのがベルト・モリゾです。サロン出展時代は割と評価が高く、本格的に印象派の画風に移ってからもそれは変わらず、モリゾの絵は比較的よく売れていました。風景画で印象派らしい印象派画家がシスレーならば、人物画で印象派らしい印象派画家はこのモリゾです。色彩豊かな人物画は息を飲みます。また、彼女は白をよく使い、白を他の色と混ぜ、白を広範に使った白の名手でもあります。
2020年:夏のお薦めの1枚 No.16
掲載日:2020年7月21日
102-舟遊び(1893-94年制作)
―メアリー・カサット(Mary Stevenson Cassatt 1844-1926)ー
カサットは人生の大半をフランスで過ごしたアメリカ人女性の印象派画家です。カサットの画風は、古典的が強いものや、印象派的色彩に富んだもの、それからもろに浮世絵の影響を受けたポン=タヴァン派的な作品など、作品によって趣きが大きく異なります。しかし、どの作品も共通して古典的様式と近代的感覚との間で一定の調和が図られており、即興的な荒々しさは皆無です。印象派の中で浮世絵の色遣いの影響が最も強いのは、このカサットではないでしょか。
2020年:夏のお薦めの1枚 No.17
掲載日:2020年7月27日
103-セーブル(1880年制作)
―マリー・ブラックモン(Marie Bracquemond 1840-1916)ー
ブラックモンは生前一定の評価を得ていた印象派の画家だったのですが、版画家であった夫が妻の活躍に嫉妬し、日頃から妻を口撃していたため、彼女は50際の時に絵を描くのを止めてしまいました。夫バカです。彼女は画面に適した人物のプロポーションを取るのがうまく、派手な身振りや色彩がなくても、キャンバス上の人物はそれなりにどんと据わっています。同じ女性のモリゾともカサットも異なり、また男の印象派の画家の誰にも似ておらず、独特の様式を確立しています。
2020年:夏のお薦めの1枚 No.18
掲載日:2020年7月30日
104-レ川のほとりの風景(1870年制作)
―フレデリック・バジール(Jean Frédéric Bazille 1841-70)ー
バジールは印象派の前身の【バティニョール派】の画家です。仲間とサロンに対抗したグループ展の開催を構想していましたが、普仏戦争に志願して参戦し、28歳の若さで命を落とします。父親がそこそこの資産家だったので、当時の若き印象派の画家たちの絵を買ったり、また自身のアトリエを貸したりなどして、仲間を支援しました。若かりし頃のモネやルノワールは、バジールからかなり助けてもらっています。惜しい逸材でした。
2020年:夏のお薦めの1枚 No.19
掲載日:2020年8月6日
105-目覚め(1876年制作)
―エヴァ・ゴンザレス(Eva Gonzalès 1849-83)ー
エヴァはマネの唯一の弟子です。マネは印象派展に参加せず、エヴァにもそうするようにいったので、エヴァは師匠のいいつけをきちんと守り、印象派展には参加しませんでした。しかし、マネと同様、印象派の画家たちと交流を育み、その中で印象派の画法を吸収していったので、広義には印象派の一員と見なしてもよいでしょう。エヴァは出産後、極度の不調に陥り、34歳の若さで死んでしまいました。 師匠のマネの死の6日後でした。
2020年:夏のお薦めの1枚 No.20
掲載日:2020年8月11日