チッチの推薦図書
019-日々の泡
―ボリス・ヴィアン 著/曾根元吉 訳:新潮社 新潮文庫ー
この小説は「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評されたボリス・ヴィアンの最高傑作です。チッチが読んだのは新潮文庫版ですが、ハヤカワepi文庫と光文社古典新訳文庫からも出ており、この2つの方は題名が【うたかたの日々】となっています。言葉遊びが山盛りで、また、現実ではありえない道具や光景に満ち溢れており、まるで【不思議な国のアリス】みたいな小説です。
少々長めの小説ですが、1章1章は短く、映画のように場面がぱっぱと変わってゆくスタイルなので、本を読み慣れていない方でも、それほど苦にはならないと思います。ヴィアンのような小説を書く若い作家が、日本に現れてほしいですね。個人的には、ハヤカワepi文庫から出ている【心臓抜き】もお薦めです。
チッチが初めて読んだ日……2006年5月(チッチ25歳)
掲載日:2019年9月20日
032-人形の家
―ヘンリク・イプセン 著/矢崎源九郎 訳:新潮社 新潮文庫ー
【近代演劇の父】と称されるイプセンは、ヴィクトリア朝のキリスト教的道徳観に基づいた勧善懲悪のロマン劇が主流だった時代に、社会問題を題材にしたリアリズム劇を始めました。その前衛運動の第1弾がこの【人形の家】であり、近代社会劇の代表的作品です。また、女性解放運動の嚆矢となった作品でもあります。
「夫の人形として生きるよりは、人間として生きたい」と願う女主人公のノーラに共感する主婦の方は多いのではないでしょうか。夫や子供を愛してはいても、自分の存在が【家庭を維持するだけの道具】となってしまい、人知れず悩んでいる女性の方は多いと思います。チッチが【女性の社会参画】考えるきっかけとなった作品です。
チッチが初めて読んだ日……2004年6月(チッチ23歳)
掲載日:2020年4月21日