チッチの推薦図書

096-貧しき漁師(1881年制作)

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―ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ(Pierre Puvis de Chavannes 1824-98)ー 

 

 シャヴァンヌはその独特の画風から位置づけの難しい画家です。強いていえば象徴主義の部類に入るでしょうね。中間色を多用した荒涼とした風景に、平面的で単純な構成、そして神秘的にたたずむ人々――こうしたシャバンヌの画風は、ゴーギャンとその周辺の画家たち(ポン=タヴァン派やナビ派)に影響を与えました。サロンでの評価は低かったですが、壁画家としては腕前を認められており、シャヴァンヌは19世紀フランス唯一の壁画家でした。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.11

掲載日:2020年7月7日

097-ウェッターホーン(1912年頃制作)

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―フェルディナント・ホドラー(Ferdinand Hodler 1853-1918)ー 

 

 日本では知名度がいまいちのホドラーですが、クリムトと並ぶ世紀末芸術の巨匠です。現に、クリムトは生前ホドラーを高く評価していますし、クリムトやシーレの絵にはホドラーからの影響が見て取れます。人物画の方では似たようなポーズを取った人物を平行に並べることによってリズム感を出し、風景画の方では地元スイスのアルプスの自然を描きました。〈静のクリムト〉に対して〈動のホドラー〉といったところでしょうか。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.12

掲載日:2020年7月8日

098-サン・マルタン運河の眺め(1870年制作)

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―アルフレッド・シスレー(Alfred Sisley 1839-99)ー 

 

 シスレーは印象派の中でも最も印象派らしい画家です。ただし、彼得意の視点や色遣いといったものがなかったため、シスレーは生前なかなか評価されず、死ぬまで貧苦に喘ぎました。シスレーが評価され始めるのは最晩年であり、美術史家も長らくシスレーを軽んじていましたが、今では印象派を語る上で決して外せない重要画家として認められています。シスレーは生涯一貫して印象派の画法で風景画を描き続けました。なんと900点近く風景画を描いています。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.13

掲載日:2020年7月15日

099-パリの通り、雨(1877年制作)

099-パリの通り、雨(1877年制作)

―ギュスターヴ・カイユボット(Gustave Caillebotte 1848-94)ー 

 

 カイユボット印象派の画家であると同時に、仲間の絵を購入したり、印象派展開催の資金を出したりと、印象派の活動を経済面から支えた功労者でもあります。カイユボットは裕福な家庭に生まれ、なかなかの資産家だったのです。生前は名を上げなかったカイユボットですが、1960年代に入り、彼の子孫たちがカイユボットの絵画を売り始めるようになってから、評価されるようになりました。印象派の中では写実的で【ドガの弟子】と称されました。 

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.14

掲載日:2020年7月16日

100-イブリーの落陽(1873年制作)

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―アルマン・ギヨマン(Jean-Baptiste Armand Guillaumin 1841-1927)ー 

 

 最初はオーソドックスな印象派の画法で描いていましたが、後半生に入ると筆致が荒々しくなり、そして色遣いも鮮烈になり、その独自の画風は後の野獣派に影響を与えました。夜働きながら昼に絵を描く生活を長らく続けていましたが、なんと宝くじに当たり大金を手に入れます。この予想外の収入によって、仕事を辞め、画業に専念することができるようになりました。もっともっと評価されても良い画家だと思います。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.15

掲載日:2020年7月17日