チッチの推薦図書
136-ナビの風景(1890年制作)
―ポール・ランソン( Paul-Elie Ranson 1865-1925)ー
ランソンは1888年にポール・セリュジエに出逢い、その1年後にナビ派の一員となります。ランソンのスタイルは簡単にいうなら、ビアズリー色の強いアールヌーヴォー、っていう感じですかね。作品によってここからさらにゴーギャン色やフォーヴィズム色が加わったものもあり、とにかくスタイルの幅が広いです。チッチ個人的には【ナビ派】という名称に1番合っている画風だと思いますね。東南アジアの女性や仏像をモティーフにしている絵もあります。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.6
掲載日:2020年12月25日
137-黄色い海(1892年制作)
―ジョルジュ・ラコンブ( Georges Lacombe 1868-1916)ー
ジョルジュ・ラコンブは、絵画だけでなく彫刻をも手掛け、ナビ派の中でも【彫刻家のナビ】と称されました。彫刻はもっぱら木彫りを得意とし、とてもユニークな形態で、プリミティヴィズムに満ちあふれています。絵画・彫刻ともに共通して【自然の豊穣と神秘】ということをテーマとして制作しているようですね。絵画も独特な色遣いで目を惹きますよ。非凡な才能の持ち主でしたが、第1次大戦中に結核で亡くなりました。まだ38歳の若さでした。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.7
掲載日:2020年12月28日
138-夜(1902年制作)
―アリスティド・マイヨール( Aristide Maillol 1861-1944)ー
マイヨールはロダンとブールデルと並んで近代ヨーロッパを代表する彫刻家の1人です。若い頃にゴーギャンを知り、そのゴーギャンの紹介を通じてナビ派の画家たちと親交を深めます。マイヨールが本格的に彫刻制作に乗りだしたのは40歳を過ぎてからであり、その後40年に渡って彫刻家として活躍しました。女性の裸婦像を唯一のモティーフとし、その女性像も物語性や寓意性はなく、静けさに満ちています。このところはモディアーニの裸婦画と共通するところがありますね。
2021年:冬のお薦めの1枚 No.1
掲載日:2021年1月6日
139-草地のブルターニュの女たち(1888年制作)
―エミール・ベルナール( Émile Bernard 1868-1941)ー
ゴーギャンは自身のスタイルを【総合主義】と標榜していました。印象派のようにただ客観を描くのではなく、そこに画家の思想や感情といった主観的要素を掛け合わせて総合することが狙いです。で、この総合主義はゴーギャンが1人で開発したわけではなく、ベルナールと協力して作り上げていったものです。この主義の特徴的画法でである【クロワゾニスム】と称される太い輪郭線と平坦な色面の様式は、ベルナールと彼の友人であるアンクタンが開発したものです。
2021年:冬のお薦めの1枚 No.2
掲載日:2021年1月8日
140-ムーラン・ルージュ(1893年制作)
―ルイ・アンクタン( Louis Anquetin 1861-1932)ー
前回のベルナールの際に出てきたアンクタンですが、彼はクロワゾニズムという様式を開発した後、ほどくなくして古典に回帰しました。クロワゾニスムを生みだした当時は画期的で、印象派の後を引っぱる画家として、画家や美術評論家から一目置かれていたにもかかわらずです。きっかけはベルギー・オランダに旅行に行き、そこでレンブラントやルーベンスの作品を見たことでした。40歳で忘れ去られた画家となった天才画家です。
2021年:冬のお薦めの1枚 No.3
掲載日:2021年1月22日