チッチの推薦図書

091-ローンテニスの思い出(1889年制作)

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―フェルナン・クノップフ(Fernand Khnopff 1858-1921)ー 

 

 象徴主義はフランスのほかベルギーでも活発に展開され、ベルギー象徴主義の代表的画家といえば、このフェルナン・クノップフです。ウィーン分離派展に参加し、初期のクリムトに影響を与えています。さて、この絵を見てお気づきになりましたか。実は、女性たちは誰も視線を合わせておらず、しかも彼女たちの顔はみな同じなんです。女性のモデルはクノップフの妹で、彼の絵に出てくる女性は全て妹をモデルにしています。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.6

掲載日:2020年6月16日

092-モンパルナスのキキ(1925年制作)

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―モイズ・キスリング(Moïse Kisling 1891-1953)ー 

 

 キスリングは陽気で、話し好きで、人当たりも良かったせいか、20代後半に早々に成功を収め、以後死ぬまでずっと裕福な暮らしを送った稀有な画家です。【モンパルナスの帝王】と呼ばれました。キスリングの描く女性はどれもこれも気だるい表情で、石膏の人形のような感じです。当時はこれが人気を呼んだんでしょうね。モデルのキキはキスリングのほかユトリロやモディリアーニなど多くの画家のモデルを務めた女性で、キスリングはキキの絵を100枚以上も描いています。 

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.7

掲載日:2020年6月23日

093-花束を持つ少女(1925年制作)

093-花束を持つ少女(1925年制作)

―ジュール・パスキン(Jules Pascin 1885-1930)ー 

 

 前回のキスリングは【モンパルナスの帝王】と呼ばれましたが、このパスキンは【モンパルナスの王子】と呼ばれました。キスリング同様、パスキンもまた若いうちから成功を収め、華やかな浪費生活を送りました。しかし、鬱病とアルコール依存症に苦しみ、45歳で自らを命を絶ってしまいます。繊細で震える輪郭線と、もやがかったような淡い色彩でもって、裸婦や少女の画像を多く描きました。

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.8

掲載日:2020年6月26日

094-人物と風景(1918-19年制作)

093-花束を持つ少女(1925年制作)

―シャイム・ス-ティン(Chaim Soutine 1893-1943)ー 

 

 スーティンの絵はどれもこれも荒々しいタッチで描かれ、フォルムも激しく歪められているのが特徴です。色彩に関していえば、強烈な赤(カドミウム・レッド)が良いですね。スーティンといえば赤です。スーティンは悲運な画家です。10代20代は貧乏画家で食うのもやっとでしたが、30ごろから売れだし、以後10年ほどは裕福な暮らしを送ります。ところが、40代に入ると人気がぱったりなくなり、またもや貧困に陥ります。何という人生でしょう (*_*;

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.9

掲載日:2020年6月30日

095-2つの頭(1935年制作)

095-2つの頭(1935年制作)

―マリ・ローランサン(Marie Laurencin 1883-1956)ー 

 

 ローランサンの絵は、20代の頃はまったく好きになれませんでしたが、30代に入るとなぜか惹かれるようになりました。本当に不思議なもので、年を取ると物事の嗜好が変わるんですよねえ。ローランサンといえば、やはり後半生の画風でしょう。フォルムは平面的に単純化され、パステルカラーを多用した淡い色彩の少女像は、見る者をやさしい気持ちにさせます。知ってました、ローランサンの作品の人気が最も高い国が日本だってこと?

 

 

2020年:夏のお薦めの1枚 No.10

掲載日:2020年7月1日