チッチの推薦図書
056-赤 い 塔(1913年制作)
―ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico 1888-1978)ー
キリコの絵にはイタリアの広場が頻繁に登場します。そして、人が描かれていないにもかかわらず、人の気配が感じられます。物の影がやけに長く伸びているのも特徴で、現実ではこんなに影はのびません。そう、キリコが描いている風景は現実の風景ではなく、目に見えない人間の内面を表現しているんですね。シュルレアリスム絵画の方向を決定づけたのが、キリコの【形而上絵画】です。キリコの形而上絵画は、1910年代だけで100点以上存在します。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.16
掲載日:2020年2月10日
057-小イスの聖母(1514年制作)
058-雪の中のキツネ(1860年制作)
―ギュスターヴ・クールベ(Gustave Courbet 1819-77)ー
クールベは【レアリスム(写実主義)】を提唱した革新的な画家です。今でこそ自分たちが生きている生の現実風景を描くのは当たり前ですが、クールベが生きていた当時のフランスでは下劣と見なされ、神話や宗教的テーマに沿って絵を描くことが絵画の良識とされていました。また、世界初の【個展】を開いた画家としても有名です。思想的には左派であり、パリ・コミューンにも参加しています。ちなみに、クールベは画家にはめずらしく冬の絵が多いです。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.18
掲載日:2020年2月13日
059-ファン・デル・パーレの聖母子(1434~36年頃制作)
―ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck 1395-1441)ー
15世紀のフランドル派の画家において最も重要な画家がこのファン・エイクです。生前からその卓越した技量は賞賛され、【神の手】と称されるほどでした。当時出始めの透明性の高い油絵の具と、光沢を出す樹脂うすめ液を用いて、それまでにない鮮やかな発色のグレーズ(重ね塗り)画法を確立しました。15世紀後半になると、イタリアの画家たちがフランドルを訪れ、ファン・エイクの技法を吸収し、これがマニエリスムにつながってゆきます。写実力も圧巻です。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.19
掲載日:2020年2月17日
060-十字架を担うキリスト(1485~90年頃制作)
―ヒエロニムス・ボス(Hieronymus Bosch 1450-1516)ー
ボスは長らく忘れ去られていた画家でしたが、20世紀に入ると、その幻想的で特異の作風から、シュルレアリスムの先駆的作品として、シュルレアリスムの画家や詩人たちから再評価されるようになります。16世紀の宗教改革運動による偶像破壊のあおりを受けて、ボスの作品のほとんどは焼き払われてしまいました。現存するものは30点ほどです。【耳の戦車】【心臓のバグパイプ】【卵の殻と樹の幹でできた人間】など、ボスの絵には不思議な生き物が登場します。
2020年:冬のお薦めの1枚 No.20
掲載日:2020年2月20日