チッチの推薦図書
076-マチュランの庭、ポントワーズ(1876年制作)
―カミーユ・ピサロ(Camille Pissarro 1830-1903)ー
印象派展は全部で8回行われましたが、8回全てに出店したのはこのピサロだけです。ピサロは印象派の中ではかなりの年長者で、また温厚で面倒見のいい性格だったということもあり、印象派のまとめ役として奮闘しました。仲間から絶大な信頼を寄せられ、印象派展が8回も実現できたのも、ピサロの力に寄るところが大きいです。主張が激しく、気難しい画家たちをまとめられるのですから、さぞかし優れたリーダーシップだったんでしょうね (´-ω-`)
2020年:春のお薦めの1枚 No.16
掲載日:2020年4月17日
077-舞台のバレエ稽古(1874年制作)
―エドガー・ドガ(Edgar Degas 1834-1917)ー
風景のモネ、人物のルノワール、そして動きのドガです。印象派の中では最も古典的で、デッサンを重視しました。ドガはマネを尊敬していたということもあり、マネに倣って光の印象の飽くなき追求というより、印象派と古典の中庸を取り続けました。写真家のように一瞬の動きを捉え、キャンバス上で運動のダイナミズムを表現しました。ドガはバレエが大好きで、バレエ・ダンサーを多く絵に収めています。【バレエの画家】です。
2020年:春のお薦めの1枚 No.17
掲載日:2020年4月20日
078-クラリネットのある静物(1913年制作)
―ジョルジュ・ブラック(Georges Braque 1882-1963)ー
ピカソがキュビスムの開始を告げる【アビニヨンの娘たち】を描いた時、ブラックは当初ピカソをぼろくそに罵りましたが、すぐにピカソの仕事の重要性に気づきました。ブラックはキュビスムにおける【多視点図法】が、ルネサンス以来の伝統である【単一焦点による遠近法】を崩す革命的な画法であることを見抜いたのです。それからブラックはピカソと共にキュビスム運動を始め、2人でキュビスムを発展させてゆきます。ピカソも一目置いた画家です。
2020年:春のお薦めの1枚 No.18
掲載日:2020年4月23日
079-チャリング・クロス橋(1906年制作)
―アンドレ・ドラン(Andre Derain 1880-1954)ー
ドランは以前ご紹介したマティスやヴラマンクとともにフォーヴィスム(野獣派)を創始した画家です。フォーヴィスムは鮮やかな原色を多用し、しかも現実の通りには着色せず、自身の感覚に基づいて自由に配色します。物や人物の細部描写は大幅に簡略され、絵の構成も平面的です。フォーヴィスム運動はわずか4年足らずで終わり、ドランはその後キュビスムに近づきます。1910年代に入ると古典に回帰し、以後ずっと古典の時代となります。
2020年:春のお薦めの1枚 No.19
掲載日:2020年4月28日
080-村(1912年制作)
―モーリス・ド・ヴラマンク(Maurice de Vlaminck 1876-1958)ー
フォーヴィスム期に明るい強烈な色彩を誇ったヴラマンクも、第1次大戦以降は一転して暗い画風になります。暗い緑や茶の色面に彩られ、暗いセザンヌ風といった感じなのですが、チッチはどちらかというとこの頃の作品に惹かれます。また、晩年の花の静物画も好きです。ドランがキュビスムに接近したのに対し、ヴラマンクはピカソとキュビスムに憤慨し、記事でもって猛批判しました。日本では洋画家の佐伯祐三が大変な影響を受けています。
2020年:春のお薦めの1枚 No.20
掲載日:2020年5月1日