チッチの推薦図書

066-アルス島の海(1910年制作)

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―エミール・ノルデ(Emil Nolde 1867-1956)ー

 

 ドイツ表現主義には【青騎士】と【橋】の2つのグループがあり、今回は【橋】からの紹介です。といっても、ノルデが在籍したのは1年ほどで、終始独自の道を歩みました。マッケと同様、水彩画の名手です。マッケとの違いは、マッケよりも色調が暗く、形態もぼんやりしています。マッケよりも評価は低いですが、無視できない画家です。多作家でしたが、ナチスに【退廃芸術家】の烙印を押され、膨大な数の作品を燃やされてしまいました。

 

2020年:春のお薦めの1枚 No.6

掲載日:2020年3月10日

067-街路、ドレスデン(1908年制作)

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―エルンスト・キルヒナー(Ernst Ludwig Kirchner 1880-1938)ー

 

 典型的なドイツ表現主義の画家といえば、このキルヒナーであり、彼はドイツ表現主義グループ【橋】のリーダー的存在でした。キルヒナーはフォーヴィスム、ゴッホやムンクから強い影響を受けましたが、本作品はムンクの影響がはっきりと見て取れます。大胆なデフォルメと原色による強烈なコントラストが持ち味です。ナチスから【退廃芸術家】の烙印を押されたことにショックを受け、ピストル自殺してなくなっています (..)

 

2020年:春のお薦めの1枚 No.7

掲載日:2020年3月13日

068-フランドル(1934~36年制作)

068-フランドル(1934~36年制作)

―オットー・ディクス(Otto Dix 1891-1969)ー

 

 1920年代に入るとドイツでは、第1次大戦前に流行した主観的な表現主義の反省・反動として、客観的姿勢の【新即物主義(別名、魔術的リアリズム)】が勃興します。この主義の画家たちは、社会の人々を冷ややかな視線で眺め、物として描き出します。ディクスもその1人で、彼は戦争の悲惨さや、戦後の頽廃したドイツ社会をグロテスクに描きました。今こそ、新即物主義の展覧会を催してほしいところです。

 

2020年:春のお薦めの1枚 No.8

掲載日:2020年3月17日

069-日 食(1926年制作)

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―ジョージ・グロス(George Grosz 1893-1959)ー

 

 グロスはドイツ人なので、本来ならば【ゲオルゲ・グロッス】という呼び方が正しいのですが、グロスは当時のドイツの偏狭的な愛国主義を嫌って、自身の名前を英語式呼称に変えてしまいました。新即物主義の画家の中では、このグロスが最も知名度が高いですね。グロスは20世紀最大の風刺画家といわれ、富裕層や軍上層部をとりわけ辛辣に描いています。1933年にナチスを避けてアメリカに亡命します。そして、アメリカで食ってゆくために大きく作風を変更しました。

 

2020年:春のお薦めの1枚 No.9

掲載日:2020年3月19日

070-レモン、かごのオレンジ、茶碗(1633年制作)

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―フランシスコ・デ・スルバラン(Francisco de Zurbarán 1598-1664)ー

 

 スルバランはスペイン黄金世紀を代表する画家です。スルバランは静かで厳格な画風で高い評価を得ていましたが、迫力ある構図と情緒あふれる画風のムリーリョが登場すると、スルバランの画風は時代遅れと見なされ、スルバランの人気は急速に衰えてしまいました。時代の変化のあおりを受けた画家として、スルバランはよく引き合いに出されます。本作品はスルバインの署名が残る唯一のボデコン(スペイン語で【静物画】の意)です。

 

2020年:春のお薦めの1枚 No.10

掲載日:2020年3月24日