チッチの推薦図書

041-エマオの晩餐(1601年制作)

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―カラヴァッジオ(Michelangelo Merisi da Caravaggio 1571-1610)ー

 

 本作品はカラヴァッジオの最高傑作として呼び声高い宗教画です。カラヴァッジオはバロックの先駆者です。カラヴァッジオといえば、鮮烈な明暗対比劇的構図に注目が行きがちですが、写実表現も見逃してなりません。ルネサンス絵画の影響で、人間を理想的に表現することが約束だったその当時において、カラヴァッジオはモデルを徹底的に写実的に描きました。この写実的姿勢が、後のレンブラントやベラスケスにつながってゆくことになります。

 

2020年:冬のお薦めの1枚 No.1

掲載日:2020年1月8日

042-青に分けられた緑(1968年制作)

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―マーク・ロスコ(Mark Rothko 1903-70)ー

 

 編集の関係上、画像は横に寝せてありあます。本来の位置は縦長です。ロスコが独自性を確立するのは1950年頃です。ロスコにとって重要だったのは色彩であり、色彩の感情に訴える力でした。だから、この色彩の力を高めるために、ロスコは大きな色面を描きました。ロスコは絵を通して、鑑賞者の感情を刺激し、鑑賞者の精神を活性化させることが目的でした。ロスコの抽象画は【瞑想的絵画】なのです。

 

2020年:冬のお薦めの1枚 No.2

掲載日:2020年1月10日

043-戦艦テメレール号(1838年制作)

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―ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner 1775-1851)ー

 

 ターナーは、前半生はアカデミックな絵を書いてましたが、ヴェネツィア旅行を契機に、後半生は大気と光の効果を追求した淡い画風となります。この後半生の画風は、後の印象派に影響を与えることとなります。中にはほとんど抽象に近づいている先駆的作品もあり、モネの睡蓮画が出るまで、このような作品が世に出ることはありませんでした。なお、本作品の正式名称は【解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号】です。

 

2020年:冬のお薦めの1枚 No.3

掲載日:2020年1月11日

044-陰 謀(1890年制作)

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―ジェイムズ・アンソール(James Ensor 1860-1949)ー

 

 アンソールといえば【仮面】ですね。アンソールが描くカーニバルに使われる仮面は、もはや生身の顔と化しているように見えます。ここには「社交用に作りだした仮の顔がいつしか、自分の本質になってしまった」という意味が込められていると同時に、また「人間には唯一絶対の本質など存在せず、人間の持つさまざまな顔のどれもこれもが本質である」という哲学的洞察を読み取ることができます。他に例のないユニークな画家です。

 

2020年:冬のお薦めの1枚 No.4

掲載日:2020年1月16日

045-夢見るテレーズ(1938年制作)

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―バルテュス(Balthus 1908-2001)ー

 

 バルテュスは【少女】を主要題材とする画家で有名です。バルテュスにとって魅力的な美というのは、成人のできあがった静的な成熟美ではなく、子供から大人へ移行しつつある少女の動的な未熟美でした。それで少女ばかりを描いたわけです。斬新なモチーフとは裏腹に、描法は至って古典的で、どの絵も堅固な構成を誇り、静けさに満ちています。シュルレアリスムの絵や抽象画が人気絶頂の時代に、古典的人物画で人々の注目を集めるほどの緻密で卓越した描法です。

 

2020年:冬のお薦めの1枚 No.5

掲載日:2020年1月17日

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