チッチの推薦図書
011-声/夏の夜(1896年制作)
―エドヴァルド・ムンク(Edvard Munch 1863-1944)ー
夏の夜の絵なのですが、月がきれいな時分ということもあり、この絵にしてみました。1890年前半のムンクの絵には、この海に映る縦に伸びた月光がしばしば見られます。また、ムンクが描く女性の顔はたいていはぼやけており、生き生きとした表情ではありません。知ってました、ムンクは精神が病んでいた時が1番良い絵を描いていたんですよ。精神科病院に入って精神状態が良くなったら、絵に迫力が無くなってしまいました。
2019年:秋のお薦めの1枚 No.11
掲載日:2019年10月29日
012-ブナの林(1902年制作)
―グスタフ・クリムト(Gustav Klimt 1862-1918)ー
クリムトは人物画だけに注目されがちですが、風景画もけっこう描いています。クリムトの風景がどことなく官能性を帯びています。というのも、クリムトは女性を描くように、樹1本1本を丹念に描いているからです。クリムトは風景画を描く際には、正方形のキャンバスを好んで用いました(画像は長方形に切り取っています)。正方形は遠近感や物の配置バランスがなかなか難しいのですが、見事なものです。
2019年:秋のお薦めの1枚 No.12
掲載日:2019年10月30日
013-4本の木(1917年制作)
―エゴン・シーレ(Egon Schiele 1890-1918)ー
前回クリムトの絵を紹介したので、今回はシーレの絵です。クリムトといえばシーレですよね。シーレはエロティックでねじれた肉体の人物画を描くことで有名ですが、風景画も残しています。風景画といっても、目の前の現実の風景を正確に模写しているわけではなく、組み立てられた風景です。シーレの風景画は彩りが暗く、戦争や病による死や荒廃を象徴しています。実際、シーレは第1次大戦に従軍しており、またスペイン風邪に罹って28歳の若さで死んでいます。
2019年:秋のお薦めの1枚 No.13
掲載日:2019年11月6日
014-利益 Ⅰ(1982年制作)
―ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat 1960-88)ー
この秋は六本木のバスキア展に行く予定だったのですが、台風や体調不良で行けなくなってしまいました。バスキアは路上のグラフィティ・アートから出発し、23歳にしてポップ・アートの帝王アンディー・ウォーホルに認められるまでになります。ですが、薬物依存症に陥り、27歳の若さでヘロインの過剰摂取により急逝します。あっという間の人生でしたが、アメリカ美術界の野生児として美術史に強烈な爪痕は残しました。
2019年:秋のお薦めの1枚 No.14
掲載日:2019年11月8日
015-積みわら〔1日の終わり、秋〕(1890-91年制作)
―クロード・モネ(Claude Monet 1840-1926)ー
モネといえば【睡蓮】ですが、モネの画業の中で最も重要なのは、実は【積みわら】です。モネはさまざな時間、気候、天候のもとに積みわらを描き、刻々と変わる積みわらの色彩を通じて、光の効果を追求しました。この積みわらは野獣派のドランや表現主義のカンディンスキーなど、後世の名立たる画家に大きな影響を与えてました。また、モネはこの積みわらによって初めて経済的成功を収めます。 それまでモネは貧乏でヒイヒイいっていたんですよ。
2019年:秋のお薦めの1枚 No.15
掲載日:2019年11月11日