チッチの推薦図書
166-ナポリの女性(不明、1884年以前制作)
―ジュゼッペ・デ・ニッティス( Giuseppe De Nittis 1846-84)ー
今回からマッキア派周辺の画家を紹介します。第1弾はジュゼッペ・デ・ニッティスです。シニョリーニやダンコーナといったマッキア派の画家たちと共にパリに出て、パリで名を知られるようになります。印象派の技法に取り組み、ドガの誘いを受けて、1874年の第1回目の印象派展に参加します。ただしそれっきりです。印象派というには華やかで、ロマン派の痕跡が色濃く残るところから、ニッティスを受け入れなかった印象派の画家もいたようです。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.11
掲載日:2021年7月27日
167-エミリアーナ・コンチャ・デ・オッサ(1901年制作)
―ジョヴァンニ・ボルディーニ( Giovanni Boldini 1842-1931)ー
ボルディーニは若い頃から古典よりも外光派の画法の習得に励みます。外光派といえば、色鮮やかな筆触による風景画ですが、ボルディーニはこれを人物画にも取り入れ始めます。当初は不評でしたが、年を重ねるごとに人物画の完成度は増し、1880年代に入ると、パリで肖像画家として人気を集めるようになりました。モデルのエミリアーナは当時のパリ社交界の花形で、ボルディーニのお気に入りのモデルでした。ボルディーニの女性肖像画は流麗華麗です。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.12
掲載日:2021年7月29日
168-アントワープの広場(1890年制作)
―フェデリゴ・ザンドメーネギ( Federico Zandomeneghi 1841-1917)ー
ザンドメーネギはイタリア人の印象派画家です。20代にマッキア派を知り、1874年にパリに出てからは印象派の技法の習得に励み、1879年の第4回印象派展から参加しています。人物画を得意とし、ルノワールやカサットの影響が顕著ですね。大雑把にいえば、この2者のスタイルを融合させたような感じです。遠近法に構図と古典的基本がしっかりしているので、多少ぼやけた色彩でも安定感があります。そこがフランス印象派と異なる点です。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.13
掲載日:2021年8月3日
169-ジュデッカ運河の朝(1881年制作)
―グリエルモ・チアルディ( Guglielmo Ciardi 1842-1917)ー
チアルディはマッキア派に、イタリア南部のポジリッポ派やレジーナ派との交流から、アカデミックな画風から離れ、明るい色彩による表現を追求し始めます。印象派を知ってからはそれはますます顕著になり、対象の輪郭もぼやけるようになります。1894年にヴェネツィア美術アカデミーの風景画の教授に任命され、亡くなるまでその職を務めました。息子のベッペと娘のエンマも画家になっています。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.14
掲載日:2021年8月10日
170-ソレントの岩の上の少女(1871年制作)
―フィリッポ・パリッチ( Filippo Palizzi 1818-1899)ー
パリッチは男3兄弟で、フィリッポの兄のジュゼッペも弟ニコラも画家でした。兄のジュゼッペがフランスに定住し、主にバルビゾン派の影響を受けます。その兄の影響を受けてフィリッポもバルビゾン派の手法を取り入れ、そしてマッキア派の画家との交流から、独自の写実スタイルを形成してゆきます。ややロマン主義的情緒が感じられる写実主義とでもいえばよいでしょうか。色彩もクールベよりも華やかです。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.15
掲載日:2021年8月25日