チッチの推薦図書
156-モロッコのスルタン(1845年制作)
―ウジェーヌ・ドラクロワ( Eugène Delacroix 1798-1863)ー
19世紀フランスのロマン主義の最大の画家といえば、このドラクロワです。アングルの新古典主義に対抗し、現実の社会風景や事件を画題とすることにも積極的に取り組み、華麗なる色彩を追求しました。モロッコの風土を描いた絵は、アングルにも影響を与え、アングルは晩年に『トルコ風呂』を残しています。細部にこだわらず、全体の色彩の効果で勝負するタイプだったため、筆さばきはタッタカタッタカとかなりの速さだったそうです。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.1
掲載日:2021年6月4日
157-エプソムの競馬(1821年制作)
―テオドール・ジェリコー( Théodore Géricault 1791-1824)ー
19世紀のフランスで、現実に起きた事件を題材に絵を描き始めたのがこのジェリコーです。フランスロマン主義絵画の先駆者で、このジェリコーの態度がドラクロワに影響を与え、また写実主義のクールベを生みだします。ジェリコー自体は32歳の若さで亡くなり画業も短いですが、フランス絵画史においては、宗教・神話画の旧時代から写実主義の新時代へ橋渡しした重要人物です。ジェリコーの馬の絵はドガも参考にしています。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.2
掲載日:2021年6月9日
158-河 岸(1864年制作)
―テレマコ・シリョリーニ( Teelemaco Signorini 1835-1901)ー
シリョリーニは19世紀のイタリアで生まれたマッキア派を代表する画家です。マッキア派はフランスのバルビゾンや外光派の影響を受けて、イタリアのアカデミックな絵画からの脱却を目指したグループです。イタリア絵画に屋外の明るい光と色彩をもたらし、都市生活のみならず郊外や農村にまで画題を求めたのも、マッキア派の功績です。このシリョリーニはクールベの写実主義の影響を受け、イタリアでいち早く労働者の姿を描きました。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.3
掲載日:2021年6月17日
159-牛車と農夫のいるマレンマでの休息(1873-75年制作)
―ジョヴァンニ・ファットーリ( Giovanni Fattori 1825-1908)ー
マッキア派の第2弾です。ファットーリは最初はロマン派の影響を受けて、戦争画などを手掛けていました。しかし、パリでバルビゾン派の展覧会を見たことにより、風景画家に転身します。屋外制作にも取り組み、イタリアの外光派の巨匠といえば、このファットリーニになります。中期の農村画が彼の絶頂期といっていいでしょう。バルビゾン派よりも明るく、印象派よりも形態が損なわれていないのが、マッキア派の特徴です。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.4
掲載日:2021年6月21日
160-つ る 棚(1860年制作)
―シルヴェストロ・レーガ( Silvestro Lega 1826-1895)ー
マッキア派の第3弾はシルヴェストロ・レーガです。マッキア派は【イタリアの印象派】としての異名を持つと同時に、フランスの印象派の先駆けになった存在でもあります。この絵なんか見ると、印象派初期のモネの絵みたいですね。ちなみに、マッキアとは【しみ】とか【斑点】という意味で、マッキア派は印象派と同じように美術批評家からの悪口だったのですが、マッキア派の画家たちはそれを受け入れました。
2021年:夏のお薦めの1枚 No.5
掲載日:2021年6月23日